提督、空母群から艦載機と飛行甲板を取り上げる
2013-10-15


禺画像]
耳に大打撃を与えたことは見てわかるようだが、
前の攻撃の効果をそれ以上、彫像化している横顔からは確認できないようだった。

これがもし絶対零度の冷たいブレスも吐ける龍田であれば、まずキンキンに提督を冷やしておいて、心の底まで凍りついたところで二階から真っ逆さまに落としてバラバラに砕いておいて「おほほほ」といったような顛末が待っている。まずビート板の件で折檻をし、艦載機でとどめを指す。それは問答無用で、集まってきた艦娘たちから理由を聞いて「あらーそういう理由でしたの、ごめんなさいねぇ」である。

そのように射程距離を考慮して適切な多段攻撃のできる龍田に対して、
瑞鶴と言えば「提督を狙って撃っちゃって!」といった射程を見るより早く、とりあえず手持ちの大火力を叩き込むことに集中する。
おそらくは性格の差だろうか。

だから最も滑稽で屈辱的なビート板の件よりも先に
艦載機のほうで私に大痛打を浴びせたあと、それ以上の攻撃の選択が無いことに少し悩むようである。

性格だけでなく艦娘としての熟練度の差と言えなくもない。
五航戦の艦娘たちが龍田並みに追い詰められる戦術を知る日を
私も楽しみにしてはいるのだが、しかし今ではなく、今はこの命が助かるかの差となっている。
ありがたくこの錬度不足を利用して九死に一生を得て、耳が痛いくらいで今回の艦載機なしでの出撃の意図も納得してもらいつつ、華麗に浮き板事件のことは無かったことにし、出撃することに集中させる。

よし!作戦は定まった。私はビート板などには目もくれず、
力強い瞳となってそれを輝かせ、なにか重大な決意を宿した表情を作り、瑞鶴を真剣なまなざしで見つめ返してイニシアチブを取りさえすれば・・・必ずこちらの・・・・

コンコン。
「瑞鶴?あ、いたわね。失礼します。」
不意に開いたままの司令室のドアから姉の翔鶴が入ってきた。
「翔鶴姉ぇ、なに?あ、それ」
ニコニコと妹の前までやってきて、飛行甲板を渡す姉。
「あのね、このビート板はやっぱり付けなくていいみたいなの。だから私が飛行甲板を持ってきたわ。」
そう言っておいてから私をにこやかに見て翔鶴。
「提督、あまり瑞鶴にイタズラをしてはだめですよ」
うふふふ・・・・とほんわかとしたフィールドを司令室に振りまきながら
「次の出撃頑張ってね瑞鶴」
そう励ますと司令室の扉を静かに閉めて出て行った。

「いたずら・・・」
私はそのとき、翔鶴が部屋いっぱいに広げていった花びらが、次々に艦載機となり変わりゴオーッと自分を爆撃せんと急降下するのを見た。
もしそうでなければ、私の頭の上に影をつくったあれは何だったのだろうか・・・。

・・・いや違う思い出した。
正確にはこののち出撃したバシー島への進撃中に旗艦(瑞鶴)の飛行甲板から放り投げられ(ダイビングし)た私が、なんとビート板1枚で泳いでボーキサイトx15を持ち帰るという陣頭指揮作戦をやった後に寝込んでしまい曖昧になった記憶、いや悪夢がそれだった。そうだ、そうに違いない。

足りないときは泳いでボーキ集め・・・などという暴挙の疲労のせいもあるだろう。
しかし今日もいつもと変わらない艦娘たちの反応を見ていると
自分があのとき悪夢を見るほどの瑞鶴からの罰らしきものを受けたなどとは信じられない。

今日も穏やかな時間の流れるあるとき、目が合った瑞鶴の言葉はこうだ。
「提督さん、なに、作戦?」
何も変わらない。
・・・でもなぜだろう瑞鶴のこの言葉に私は手に汗を握る。

戻る
[艦隊これくしょん〜艦これ〜]
[艦これ2(西南諸島海域)]

コメント(全15件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット